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のんびり日々のことを綴っていきます

ビル清掃の仕事。きれいにするのが私の仕事です。

      2021/07/04

大阪市でビル清掃のパートを始めて5年が経ちました。
「お母さん、掃除のおばちゃんになるね。」と仕事を決めた時、娘たちに言ったら 「もっといい仕事ないの?スーパーのレジとかウェイトレスとか。」と反対されましたが、私の決心は固いでした。

正直、清掃の仕事を決めた理由は「きっと100%採用されるだろう」と思ったから。

病院の清掃という、想像しただけでもしんどそうな仕事はもちろんいつも人手不足で、 ハローワークの求人欄に、その仕事はずっと前から掲載されていたのです。

朝7時から夕方4時半までの仕事の時給は700円。
40代で、なんの資格も持っていない私でも働けそうな仕事。
朝がちょっと早いけど、下の娘も中学生だし、朝食さえ準備しておけば私がいなくても大丈夫。
迷わず面接を受けて、働き始めました。

清掃という仕事自体は、やる気さえあれば誰でもできるような簡単な仕事です。
要は、きれいにすればいいのですから。
でも、単純そうに思えるその仕事も、意外と神経を使うのです。
入院されている患者さんや付き添いのご家族の方、医師や看護師の皆さん。
すべての人に気を配りながらの作業です。
慣れないうちは、失敗もたくさんしました。
私がモップで拭いた床で、走る看護師さんが滑りそうになったことや、入院患者さんの棚に置いてある時計を落としてしまったり 時間が足らなくて全部の部屋が掃除できなかったり・・・。
注意ばかりされて、数え上げたらきりがないくらい反省の毎日でした。

それは今も同じで、仕事が終わって帰るときに落ち込むことも多いのです。
でも、5年も働いているのですから、こんな私でも、コツを掴んで要領よく働くこともできるようになりました。
患者さんや病院スタッフの方が私に求めていることを察知すればいいのです。
たまに余計なことまでして迷惑がられますが、その時はすぐに謝ります。
「言われる前に気づく」が、毎日の目標ですね。

そして、いかに素早くその場をキレイにできるか。
もたもたしていては、忙しいスタッフの皆さんの邪魔になってしまいますから時間との勝負の時もあります。
時々、スタッフの方の不注意で液をこぼしたりしたときの後始末もしますが、 申し訳なさそうな顔をする若い看護師さんにも「おばちゃんに任せて!」と何事もなかったかのように床をきれいに拭き上げます。

お礼を言われますが、こちらはそれでお給料をもらっているのですから。
快適な空間になるようにするのが私たちの仕事です。
サービス業みたいなものですね。

でも、清掃はやってもやってもキリがない仕事です。
たった今、きれいにしたはずの廊下が、振り向いたらお見舞いの方の靴についていた泥で汚されている時もあります。
時間がないときには、さすがにちょっとイラッとしますが、でも清掃しなければ、たちまち建物は汚くなります。
誰にでもできますが、いかに心を配って掃除ができるか。
掃除をするときの表情にも気をつけています。

嫌々そうな顔をしたり、疲れた顔をしていては周りの方も不愉快になると思うのです。
誰も掃除のおばちゃんなんて見ていないよ、と言われるかもしれませんが、一人でも見てくださる方がいるとしたら、その方に悪い印象を与えないようにしなければなりません。
掃除のおばちゃんのせいで、病院の印象が悪くなってはいけませんから。
もちろん、汚いものをさわる作業もありますが、そういう時は「プライドを持ってプライドを捨てる」のです。
相変わらず時給は安くて、本音はもうちょっと給料を上げて欲いと仲間同士で愚痴を言い合うこともありますが、 まあ、それは仕方ないですね。
結局、その給料でもここで働きたいのですから。

「掃除をしてあげてる」ではなくて「掃除をさせていただいてる」というふうに気持ちを切り替えているので、5年も続いているのだと思います。

患者さんやスタッフの方に「いつもきれいにしてくれてありがとう」と、言葉をかけていただくととても励みになります。
こちらは仕事なので、きれいにするのが当たり前なのですが、やはり嬉しいものです。
掃除の仕事を嫌っていた娘たちも、私が楽しそうに働いているのを見て、もう何も言わなくなりました。
明日も仕事です。
頑張ってきれいにしてきます。




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